未来を近づけるには?

マーティン・スミット
05. 11月 2025

ロケット科学分野では、ハイテクをテーマにした学生コンテストを開催しています。オランダ・デルフトの学生チームは、まさにそのような大会に向けて過酸化水素を推進剤とする二液式ロケットを開発中です。最先端技術とゼロベース設計に取り組む中で、彼らは最適な部品を探し求めました。そしてKELLER Pressureがそこに関わることとなりました。

今回は、7名のチームの一員であるトーマス・ナジ・ザンボ氏に、プロジェクトの背景を伺いました。「私たちは全員、デルフト工科大学の学生ロケットグループ DARE(Delft Aerospace Rocket Engineering) のメンバーでした。新しい設計に挑戦し、ゼロからロケットを作り上げたいと思ったのです。昨年9月にスタートし、来年ポルトガルで開催されるEuRoC(European Rocketry Challenge)出場を目指しています。つい先日、初めての点火試験を行い、無事成功しました。」

過酸化水素を燃料とするロケットは決して新しいものではありません。しかし、この燃料方式は第二次世界大戦や宇宙開発初期以来、ほとんど使われなくなっていました。「私たちは学生レベルで、低コストかつゼロから開発する形でこの燃料を再現したいと思いました。最初は“とにかく飛ばす”ことが目的でしたが、進めるうちに“飛行可能な機体”を設計する段階にまで発展しました。」 機械設計には5月までの期間を要し、ようやく完了。最初の大きな課題はエンジンの確実な点火でした。「来年は、まだ飛行対応していないシステムを改良し、主要システムの開発を続けていく予定です。」

統合設計

学生チームであるDAREは、一般的な顧客よりもはるかに実験的です。KELLER Pressureオランダ支社の営業担当マーティン・スミット(Martijn Smit)氏は、詳細なヒアリングを通じてこのプロジェクトに最適なセンサを選定。彼のサポートが、設計の質をさらに高めました。トーマス氏は、3Dプリントによるステンレス製燃料タンクの図面を見せながら語ります。「私たちはKELLER Pressureのセンサを2種類使用しています。エンジン内の圧力測定にはM5HB、過酸化水素とエタノールタンクの圧力測定には7LCを採用しています。これらのセンサは軽量・コンパクトで、材料の適合性も非常に優れており、私たちの要件をすべて満たしていました。特に助かったのは、KELLER Pressureが技術仕様をオープンに公開している点です。必要な情報はすべてウェブサイトで確認でき、販売担当に問い合わせなくても、自分たちで適合判断ができました。使用を決定してからのコミュニケーションも非常にスムーズでした。」

次なるステップはさらなるテストです。「大会への正式参加が認められる前に、フルスケールの燃焼試験をいくつか行う必要があります。そのための専用試験場と、冷却機構を備えた新しいエンジン設計が必要になります。これまでの試験では冷却なしのエンジンを使用していました。」

EuRoC(European Rocketry Challenge)は、ポルトガル宇宙機関(Portugal Space)が主催するヨーロッパ初の大学ロケット発射コンペティションです。ヨーロッパ各国の学生が自作ロケットを設計・製作・打ち上げるこの大会は、工学系学生に実践的な設計・開発スキルを養わせることを目的としています。さらに、STEM教育(科学・技術・工学・数学)分野への関心を高める場としても期待されています。

 

この記事は、オランダの技術系ライター ジャネット・クーレン(Janet Kooren) によって執筆されました。

共有
Did you like this content?

Further blog posts

10/2025
Blog
Our Recruitment Process – How It Works at KELLER Pressure

Human Ressources

08/2025
Blog
20 Years of ZETA Enerji – A Story of Success and Partnership

Sales

07/2025
Blog
KELLER Pressure Moves – FCW Remains First Class

Executive Management